難病治療とステロイド
2020/12/17
今回はステロイドについて書きます。
ここでいうところのステロイドは、
主な成分として糖質コルチコイドあるいはその誘導体が含まれている
ステロイド系抗炎症薬「SAIDs」のことです。
筋肉増強剤としてのステロイド
有機化学物質としてのステロイド
生理活性物質としてのステロイド
ではないことを予めご理解頂いた上でお読みください。
- 難病指定の症状を訴える患者が医者に問います。
- 「私の病気は治りますか?」と。
- 医者は何と答えるのでしょうか?
- 治ると言いたいが…言えない。
- 治らないと言うと患者が傷つくかもしれない。
- 心優しき医者はなんとかごまかそうと
- 「クスリで症状を落ち着かせて様子を見ましょうか?」と言うかもしれません。
800種類以上ある難病の数々ですが、
実際に使われるのは「ステロイドと免疫抑制剤」の2種類の薬剤だけです。
ここで重要かつ必要なのは、
『ステロイドが処方された=不治の病』という認識です。
医学的にステロイドで治る病気はありません。
ステロイドは強力な抗炎症作用を持ち、
代謝の大元をブロックすることで劇的な症状鎮静化をもたらします。
「よく効くクスリ」とされますが、実は良くなったというのは錯覚です。
これは言ってみれば麻酔のようなもので、
症状をスパッと緩和するのは、神経感覚を一時的に断ち切るのに似ています。
麻酔から覚めて感覚が戻ってくるように、ステロイドの抗炎症作用も一時的なものです。
同じ効果を継続して得ようと思ったら、一度使うと止められなくなってしまいます。
より強い薬剤へと移行し、最後には使うクスリがなくなるので
医者としては、「そのまま使い続けなさい」と言うしかないのでしょう。
ステロイド使用しない治療を否定・批判する医療者は多いですが、
どちらを選ぶかは個々人の判断です。
「治る」ことの解釈・概念における価値観が違うので、
ステロイドを使用しないと決めた人を叩くのは絶対にやめましょう。
身近なところでは、虫刺されに使う塗り薬にも、
その他のかゆみ止め市販外用薬にもステロイドは入っています。
知っていて使うのと、知らないで使うのは後々の対処が変わってくると思います。
ステロイドの成分を調べると、
プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、
フルオシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾンなどの名称が出てきます。
薬剤の成分表や注意書きを確認することは大切です。
私は虫刺されのときにはステロイド不使用のアロマクリームを使っています。
現在、日本で指定難病とされている病気は333種類です。
ここで言う難病は自己免疫疾患です。
自己免疫疾患は、
自分自身の細胞に対して攻撃する抗体を作り続けてしまう
病的な免疫異常とされています。
リウマチ、パセドー病、橋本病、クローン病、
潰瘍性大腸炎、重症筋無力症、多発性硬化症、など…
要は、自分の異常抗体の標的となる細胞が、
小腸ならクローン病、
大腸なら潰瘍性大腸炎、
甲状腺なら橋本病、
という具合で病名がつきます。
ひたすらに自分の免疫で自己を破壊し続け、
破壊された細胞組織を修理し続けます。
身体のホメオスタシス(恒常性を保つ本能的な機能)は、
休むことなく治し続けます。
治す過程で炎症が起こりますが、ステロイドは治癒反応である炎症を抑えます。
しかし炎症は抑えられても、破壊自体を止めることはできないので、
腫れや痛みが引いて一見症状は良くなりますが、一時しのぎなのは明白です。
ステロイド・免疫抑制剤というのは、
異常な免疫のみならず正常な免疫まで抑えます。
すなわち、状態をAIDs(エイズ)に近づけるということです。
エイズは、免疫不全による肺炎や発ガンと戦い続ける病態です。
つまり感染症罹患リスクが高まるということです。
それでなくても、巷で感染拡大しているとされる新型コロナウィルス(肺炎球菌)があります。
安易なステロイド・免疫抑制剤の使用は慎重にすべきだというのが私の考えです。