埼玉にある水素サロンセルくれんず|安い輸入小麦でつくられるパン
2021/07/12
『“安い食べ物”には何かがある』南清貴・著(三笠書房)
安く売るための輸入大豆やポストハーベストの問題を取り上げてきましたが、パンにも同じ問題がある。
その問題は、原材料である小麦にある。
小麦は品種改良を重ねてグルテンというたんぱく質が突出して多くなるように改良されてきた。
グルテンとは、小麦などに含まれるたんぱく質の一種で、パンやケーキをふわふわにふくらませたり、めん類のモチモチ感を出したりするはたらきがある。
今の小麦はほとんどが輸入物で、国産小麦は本当に少なくなった。
小麦は輸入の段階で農薬をたくさんかけられる。
そのまま消費者の口に入ってしまうので大問題なのだが、実は大手パンメーカーの小麦はほぼ100%がそうなのだ。
ポストハーベストと相まって、相当の食品添加物も使われているのだろう。
きちんと栽培された原種に近い小麦には、様々なたんぱく質が入っている。
主なたんぱく質にグリアジンとグルテニンというものがあり、水を加えることによってグリアジンとグルテニンが結着してグルテンになる。
このグルテンが小麦粉を水で練った時に出る「粘り気」である。
最近になってグルテンが身体に異常に反応してしまう「グルテン不耐症」の人が増えている。
その症状は、ほとんどが日常生活のなかで感じる不調である。
たとえば、原因不明の疲れや頭痛、なんとなく胃腸の具合が悪かったり、肌荒れや集中力の低下、生理不順など、一般的に病院に行くほどではないと考えてしまう、いわゆる「不定愁訴」とされる症状である。
ところが、欧米で注目され、最近では日本でも周知されている「グルテンフリー」の食生活にすると、とたんに体調がよくなることが報告されている。
もし、パン好きでどうも体調がすぐれないという人がいたら、3か月程度、このグルテンフリーの食事をしてみてはどうだろう。
少なくともパンを抜くだけでも、かなりの確率で体調がよくなるはずである。
日本人は、長い歴史の中で、米を主食として暮らしてきた。
米と小麦は同じイネ科だが、たんぱく組成がまったく違う。
日本人の身体には本来、米が合っているのである。
グルテンを摂らないことで、急に仕事や勉強のパフォーマンスが上がることも珍しくない。
とくに子どもの場合は効果が分かりやすいようだ。
なんとなく元気がない、無気力、集中力がないというなら、「グルテンフリー」に一度トライしてみて損はない。
小麦粉はスーパーなどで安価で売られているが、安い理由はそれなりの品質だからに他ならない。
日本国内で誠実に良い小麦をつくっている生産者もたくさんいるので、えらぶならそのような国産小麦を選ぶことだ。
また、最近は品種改良される前の古代小麦が復活の兆しを見せていることも注目である。
古代小麦はグルテンに反応してしまう人でも食べられる可能性が高い。
海外の食品を扱っている店に置いてあることが多いようなので、ぜひ探してみて欲しい。